【2022/23 EL】選手登録リストの仕組みとは?【ユベントス】

ユベントス

(※執筆時期:2023年2月7日)

2023年2月、ユベントスはEL(UEFAヨーロッパリーグ)に参加する選手リストを発表しました。

La Lista per la UEFA Europa League - Juventus
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リストA」に23名、「リストB」に12名を登録したユベントスは、主力のMFファビオ・ミレッティMFニコロ・ファジョーリをリストBに登録。

その一方で、ユベントスNext GenGKジャンマルコ・クレスピCBディーン・フイゼンがリストAに登録され、(少し?)話題となりました。

今回は、ELのリストAとリストBの登録条件を整理した上で、その仕組みや基準などを紐解いていきます。
(CLの登録条件や仕組みも基本的にはELと同じです。)

1.「リストA」と「リストB」について

(1)選手登録リストとは?

選手がELでプレーするためには、「リストA」または「リストB」に登録されていなければなりません。

クラブは、リストAまたはリストBに記載されていないプレーヤーを出場させた場合、法的責任を負うことになり、何らかのペナルティが与えられる可能性があります。

法的責任を負うのは避けたいですね。

(2)「リストA」とは?

トップチームに所属する多くの選手は、リストAに登録されます。
リストAは、いわば「メインリスト」の立ち位置になります。

【リストAの概要】
リストAの内容は、ざっくりと以下の通りです。

リストAの内訳

リストAに登録できる選手は最大で25名まで。
自由枠」は最大で17名まで。
地元育成枠」は「クラブ育成枠」と「協会内育成枠」からなる。
地元育成枠」は最大で8名まで。
クラブ育成枠」は、15歳~21歳までの期間に、現在のクラブに3年間以上在籍した選手のみ登録可能(※1)。
協会内育成枠」は、15歳~21歳までの期間に、現在のクラブと同じ協会に属するクラブに3年間以上在籍した選手のみ登録可能(※1)。
リストAの提出期限2022年9月2日まで(グループステージの第1試合から決勝戦を含むすべての試合に適用)(※2)。

つまり、リストAの構成パターンは以下の通りとなります。

【※詳しく知りたい人向けの補足※】
①クラブ育成枠(または協会内育成枠)を満たす選手:
15歳(または15歳になるシーズンの開始)から21歳(または21歳になるシーズンの終了)の間に、国籍や年齢に関係なく、継続して3シーズン(=関連する国内選手権の最初の公式試合から、当該国内選手権の最後の公式試合まで)または36ヶ月間、現在所属するクラブ(協会内育成枠の場合は、現在所属するクラブと同じ協会に属するクラブ)に登録されていた選手。当該選手の誕生日が、関連する国内選手権の最後の試合の後、6月30日(冬季選手権)または12月31日(夏季選手権)以前であれば、15歳の誕生日の直前のシーズンを、21歳の誕生日が7月1日(冬季選手権)または1月1日(夏季選手権)以降、関連する国内選手権初戦以前の場合、その次のシーズンをカウントすることができる。

②リストAの提出期限:
リストAは、以下の期限までにオンラインで提出されなければならない。
2022年7月29日(24:00CET)第3次予選ラウンドの全試合。
2022年8月12日(24:00CET):プレーオフの全試合。
2022年9月2日(24:00CET):グループステージの第1試合から決勝戦を含むすべての試合。

③リストAに選手を追加する場合:
ノックアウトラウンドのプレーオフの時点で、クラブは現在の大会の残りの試合について、最大3名の有資格者を新たに登録することができる。この登録は、遅くとも2023年2月2日(24.00CET)までに完了しなければならない(厳守)。
→このような新しい選手の登録によって、リストAの選手数が25名を超えた場合、クラブは、現在登録されている選手を必要数削除して、再び25名の選手としなければならない。新規登録の際には、「地元育成枠」を尊重しなければならない。

④GK特例:
各クラブは、リストAに少なくとも2人のGKを登録し、リストAとリストBを合わせて少なくとも3人のGKを登録しなければならない。

(Regulations of the UEFA Europa League)

(3)「リストB」とは?

「メインリスト」として主力選手が多く登録されるリストAとは対照的に、「サブリスト」という存在であるリストBでは、主にユース出身の選手が登録されます。

そして、その登録条件は比較的シンプルにできています。

【リストBの概要】

登録数の上限は無い
登録条件は一つだけ:2001年1月1日以降に生まれ、15歳の誕生日以降、現在のクラブで継続して2年間(※①)以上在籍したこと。
リストBの提出期限は当該試合の前日24時(中央ヨーロッパ標準時)。

このように、リストBには、基本的に「クラブに2年以上所属している21歳以下の選手」しか登録できません。

そのため、リストBは、必然的に「ユース選手のリスト」という性格が強いものとなります。

【※詳しく知りたい人向けの補足※】
①ローン移籍期間がある選手:
リストBに登録できるのは、2001年1月1日以降に生まれ、15歳の誕生日以降、当該クラブで、同一協会内のクラブへの1年以内のレンタル期間を最長として、継続して3年間プレーする資格を持つ選手である。

②16歳の選手に関する特例:
16歳の選手は、過去2年間、中断することなく当該クラブに登録されていれば、リストBに登録することができる。
(Regulations of the UEFA Europa League)

2.クラブが選手をリストに登録する基準

上記の通り、リストAへの選手登録には、異なる条件が設定された3つの「枠」が存在します。

(自由枠、協会内育成枠、クラブ育成枠)

クラブが選手をリストに登録する際には、その選手がどの「枠」に該当するか、具体的には、その選手の年齢や所属歴が重要なポイントとなってきます。

以下では、「22歳以上の選手」の場合と「21歳以下の選手」の場合とに分けて、その選手がどちらのリストに、どの「枠」に該当するのかを検討してみましょう。

(1)22歳以上の選手の場合

「22歳以上の選手」の登録を検討するに際しては、リストB(21歳以下の選手が登録可)に登録できないため、リストAの各枠の条件に当てはめて考えることになります。

一部の例外や細かいシーズンの数え方などを省くと、「22歳以上の選手」のリストへの登録は、基本的に上図のようになります。

(2)21歳以下の選手の場合

「21歳以下の選手」の登録を検討するに際しては、リストAの各枠の条件に加えて、リストBの条件も考慮する必要があります。

一部の例外や細かなシーズンの数え方などを省くと、「21歳以下の選手」のリストへの登録は、基本的に上図のようになります。

【補足】
このように、選手登録においては「その選手が『21歳』を超えているかどうか」が一つの基準となっています。
そのため、ユベントスのBチーム(Next Gen)でも、制度上は(基本的に)23歳以下の選手が所属することができますが、実際はその選手の大半が21歳以下となっています。

3.ユベントスの選手登録を考える

ここまで、ELの「リストA」と「リストB」の概要と選手登録の基準を確認してきました。

以下では、これまでに確認した仕組みや基準をユベントスに当てはめて、その実態を検証してみます。

(1)ユベントスの選手リスト

※訂正
・フイゼン「2023年7月に協会内育成枠取得予定 → 2024年1月にローマにローン移籍したため未定」
・バルビエーリ「2023年9月にクラブ育成枠取得予定 → 2023年7月にピサにローン移籍したため取得不可」

2023年2月にユベントスが公表した選手登録リストを整理すると、上図のようになります。
左側がリストA、右側がリストBです。

リストAには「協会内育成枠」を満たす選手が8名いますが、同枠は上限が4名のため、この8名のうちの4名が「自由枠」に登録されます。

ユベントスが発表した「リストA」は、
自由枠」が17名
クラブ育成枠」が2名
協会内育成枠」が4名
の、合計23名でした。

「リストAの構成パターン」におけるユベントスの構成は、上図のマーカー(パターン21)にあたります。

(2)ユベントスの登録フローチャート

図①は、ユベントスの選手を「22歳以上の選手を登録するフローチャート」に当てはめたものです。

欧州大会において、22歳以上のユベントスの選手がどの「枠」に該当するかは、この流れにそって考えることで導き出せます。

一方、図②は、ユベントスの選手を「21歳以下の選手を登録するフローチャート」に当てはめたものです。

欧州大会において、21歳以下のユベントスの選手がどの「枠」に該当するかは、この流れにそってに考えることで導き出せます。

4.総括

これまで、ELの選手登録に関する規定や条件を整理したうえで、ユベントスの選手登録リストを外観しました。

大会の選手登録は、チームの移籍市場での戦略や選手の起用可否などとも関わってくるので、正確に理解・把握しておきたいところでしょう。

誤字脱字や訂正すべき箇所を見つけた方は、下のコメント欄でご指摘いただけると幸いです。

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